2021 年 64 巻 p. 75-82
空港民営化の進展の中で空港の所有・運営形態は多様化しており、ヨーロッパやオーストラリアの空港では年金基金が主要な資金提供者となるケースも見られている。ヨーロッパを中心とする年金基金は環境・社会・ガバナンスに配慮したESG投資に積極的に取り組んでおり、投資対象の環境パフォーマンスを重視するとされる。本稿では、パネルデータ分析を通じて空港の所有形態および年金基金の投資の有無が環境パフォーマンスに与える影響を明らかにしている。民営化によって必ずしも環境悪化につながるものではなく、むしろ長期投資を考慮する年金基金を経営に参加させることによって環境改善にさえつながる可能性があることを明らかにしている。