抄録
先進諸国ではインフラの老朽化が急速に進行しており、点検技術の開発など老朽化問題に焦点を当てた研究が多く蓄積されている。一方、近隣自治体との関係に着目してインフラの健全性を定量的に分析した文献は、管見の限りきわめて少ない。本稿では、北海道内の市町村管理の橋梁を対象として、インフラの質の維持に寄与する要因を明らかにし、近隣自治体との相互関係(「近隣効果」)がインフラの健全性に及ぼす影響を分析した。分析から、特別豪雪地帯では維持補修費の多さと安定性が健全性に正の効果を与えることや健全性に対して正の「近隣効果」が発現することなどが明らかになった。