フォーラム現代社会学
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特集Ⅱ 労働における差別と排除
日本におけるワーキングプア問題と社会的排除 : 連合・連合総研ワーキングプア調査から
福原 宏幸
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2011 年 10 巻 p. 62-75

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抄録

2009年、連合と連合総研は、深刻化するワーキングプア問題の解決をめざしてワーキングプア調査チームを組織し、実態調査を行った。それにより、以下の結論を得た。ワーキングプアの15歳のころの生活状況を調べると、貧困と不安定な家庭環境のもとで、家族とのつながりの希薄化、学校社会への中途半端な接合、低学歴に追いやられ、「社会化」が十分に達成できていない者が多くいた。また、労働世界におけるワーキングプアの仕事の周縁性や雇用の不安定さは、職場への接合の不確かさをもたらしている。その結果、職場組織だけでなく、家族、友人・知人、地域社会などとのつながりの希薄化がみられ、場合によっては精神疾患を患う者もいた。さらに、継続雇用と一時的失業を前提に設計された雇用保険などの社会保障制度から多くのワーキングプアが排除されている。同時に、これらの排除状況に対して、自らの思いや要求を発言する機会や場そのものが奪われていることもわかった。これらのことから、ワーキングプア問題は、子ども期の貧困と社会からの排除と深く結び付いていることが導き出された。また、この問題は、日本社会のメインストリームを形成している企業社会の論理やそれを前提とした社会保障制度からの排除と深く結び付いていることもわかった。すなわち、ワーキングプア問題は、日本の社会のあり方、とりわけ労働における差別と排除の最も深刻な問題であるといえよう。

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© 2011 関西社会学会
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