フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
Print ISSN : 1347-4057
論文
政治的デモンストレーションの展開とその環境
―1999年シアトルWTOと2009年ピッツバーグG20を事例に―
濱西 栄司
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2018 年 17 巻 p. 5-18

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抄録

路上での政治的デモンストレーション(デモ)は、現在では世界中でみられ、日本でも全国で数多くのデモが実施されてきた。近年、デモなどの抗議行動を、組織化よりも優先する傾向もさらにみられている。ただし、デモの空間的展開を描く研究は国内外をみわたしてもほぼ存在しない。例外的にジャオ(2001)は天安門事件をめぐる学生運動の特徴を説明するために、大学配置とデモルートの関係を明示し、濱西(2016a)はサミット・プロテストの特徴を説明するために、密集するアクションの展開図を描いているが、かなり限定されている。そこで本稿では、方法論的検討を通してデモの展開をより精緻に記述し、デモに物理的な環境が及ぼす作用について考察することを課題とする。まず第2節において、デモのルート(特に合流・方向性)とその環境を記述する方法論について検討をおこない、その上で第3節では、1999年シアトルWTO、及び2009年ピッツバーグG20に対する抗議行動を取り上げ、デモの空間的展開を、その物理的環境とともに描く。第4節では2事例の特徴を示しつつ、大学・スタジアム・公園等の配置や高速道路・海・川、抗議目標の位置などの物理的環境が、デモの合流や方向に及ぼす作用について考察する。

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© 2018 関西社会学会
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