フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
Print ISSN : 1347-4057
論文
現代日本社会における「近代家族の揺らぎ」と親密性の変容 : 『婦人公論』における独身・非婚をめぐる言説から
桶川 泰
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キーワード: 結婚, 独身, 非婚, 近代家族
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2010 年 9 巻 p. 88-100

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抄録

本稿では、『婦人公論』から、結婚制度を批判していく言説が如何に出現してきたのかを分析し、近代家族が終焉に向かいつつある現代日本社会において、親密性のあり方が如何に変容しているのかを明らかにしていこうとした。分析の結果、現代社会では互いのコミュニケーションやコミットメントによって結びつく関係性が理想として新しく出現しており、そうした理想によって「如何なる愛の関係性がコミュニケーションによって築かれる関係性なのか」が問われるようになっている。例えば、性役割分業に基づく愛のあり方が否定されるようになっているし、「情熱的なロマンティックな恋愛か結婚か」「男女の愛に法的認知は必要か」という言説が紡ぎだされるようになっている。また、結婚を肯定的に捉える言説においても、コミュニケーション・コミットメントを怠る愛のあり方は否定されている。もっとも、互いのコミュニケーション・コミットメントによって結びつく関係性が理想とされていくことで、関係性を保証する外的な結びつきが失われる不安もまた登場することになっていた。そうした不安から逃れるために、現代においても、「唯一無二」の関係性が理想として残り続けていた。

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© 2010 関西社会学会
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