関東東山病害虫研究会報
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病害の部
亜リン酸肥料の施用がジャガイモそうか病の発生に及ぼす影響について
仲川 晃生越智 直清水 繁夫
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2010 年 2010 巻 57 号 p. 1-4

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抄録

ジャガイモ疫病防除に散布した亜リン酸液肥が,そうか病の発生に及ぼす影響を明らかにするため,疫病防除にあわせた液肥散布後にジャガイモを掘り取り,塊茎のそうか病発生程度を調査した。製造元の異なる2種類の亜リン酸液肥を用い,3濃度(250, 500および1000倍)で疫病の発病前から毎週合計4回散布(200L/10a/回)し,収穫時に塊茎のそうか病発生程度から発病度を求め,防除価を算出した。その結果,効果は低いもののそうか病の発生は低減して20 程度の防除価を示し,この効果は液肥の種類や散布濃度には関係なかった。また,亜リン酸粉末肥料(日本医薬品開発研究所試作,亜リン酸液肥10または20%含)をジャガイモ植付時に250kg/10aの割合で植溝施用し,同様にそうか病の発病調査を行った。その結果,そうか病に対して30以上の防除価を示し,成分濃度の違いによる効果の差は明確ではなかった。これらのことから,疫病防除に亜リン酸肥料を散布することで,ジャガイモそうか病の発病も軽減できると考えられた。さらに,亜リン酸液肥を用いてジャガイモそうか病の種いも消毒(50~250倍)効果を調べた結果,両液肥とも対照のオキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤(40倍)と同等の高い消毒効果を示した。以上のことから亜リン酸肥料の利用は,ジャガイモそうか病に対し,農薬に頼らない防除技術を開発する上で有効であると考えられた。

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