関東東山病害虫研究会報
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病害の部
群馬県におけるレタス根腐病の発生
三木 静恵桑原 克也大堀 智也池田 健太郎酒井 宏
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2010 年 2010 巻 57 号 p. 11-13

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抄録

2009年8月下旬,群馬県内のレタス栽培2圃場において,生育不良や萎凋症状を呈する病害が発生した。発病株は,外葉数枚が黄化・萎凋するとともに生育遅延が認められ,症状の激しい場合には,株全体が萎凋・枯死した。また,主根および茎部の維管束は褐変していた。維管束の褐変部から常法に従い菌を分離したところ,Fusarium属菌が高率に分離された。2圃場から分離された菌株は,いずれも小型分生子が単胞で短い単一フィアライドに擬頭状に形成された。大型分生子は鎌形~新月形で1~5隔壁,多くは3隔壁のものが観察された。分離菌株の生育適温は28~30℃であった。これらの特徴から分離菌株をF. oxysporumと同定した。分離菌株を接種したレタスには原病徴が再現され,同菌が再分離されたことから,本病は本県未発生のFusarium oxysporum f. sp. lactucaeによるレタス根腐病であることが判明した。さらにレース判別品種である‘晩抽レッドファイヤー’,‘コスタリカ4号’,‘パトリオット’を用いた検定法およびrDNAのIGS領域における塩基配列の相同性解析を行ったところ,本菌はレース2であることが明らかになった。

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© 2010 関東東山病害虫研究会
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