2006 年 2006 巻 53 号 p. 101-104
露地栽培トマトにマラチオン乳剤とエトフェンプロックス乳剤をそれぞれ3回散布し, トマトハモグリバエとその寄生蜂の密度を調べた。その結果, マラチオン乳剤散布区ではトマトハモグリバエと寄生蜂の密度がともに増加した。一方, エトフェンプロックス乳剤散布区ではトマトハモグリバエの密度が著しく低下し, 寄生蜂の密度も低下傾向を示した。いずれの殺虫剤においても寄生蜂の減少に起因するトマトハモグリバエのリサージェンスは認められなかった。寄生蜂の種構成はマラチオン乳剤を散布してもほとんど変化しなかったが, エトフェンプロックス乳剤を散布すると Chrysocharis pentheus の構成比が減少し, それにかわって Neochrysocharis formosa の構成比が増加した。N. formosa と C. pentheus のマラチオンおよびエトフェンプロックスに対する感受性を検定したところ, マラチオン感受性は前者のほうが高く, エトフェンプロックス感受性は後者のほうが高かった。以上の結果から, 殺虫剤によってトマトハモグリバエとその寄生蜂に対する影響は大きく異なることが明らかとなった。