関東東山病害虫研究会報
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ウイルスフリー化処理によるサツマイモ立枯病の品種抵抗性の低下
高野 幸成雨宮 昭彦猪野 誠
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2006 年 2006 巻 53 号 p. 29-33

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抄録

近年, 千葉県のサツマイモ産地では, 立枯病に抵抗性のある品種「ベニアズマ」の発病事例が多く見られることから, 病原菌レースの変化などが推察された。そこで, 立枯病の多発要因を明らかにするため,「ベニアズマ」の原種苗と主産地で90%以上普及している市販のウイルスフリー苗を用いて, 抵抗性の簡易検定を行った。その結果, 市販のウイルスフリー苗は原種苗に比べて立枯病が発病しやすかった。また, ウイルスフリー化後に2作露地栽培した種いもから得た苗も抵抗性は低下していた。さらに,「ベニアズマ」および抵抗性系統「IDN-47」の原種苗 (親株) から作出したウイルスフリー苗は, 原種苗に比べて発病しやすかった。以上のことから, ウイルスフリー苗は立枯病が発病しやすく, ウイルスフリー化前の抵抗性が低下することが明らかとなった。その要因としては, ウイルス感染の有無が関与しているのではなく, ウイルスフリー化に伴う茎頂培養処理が影響しているものと推察される。

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