2008 年 2008 巻 55 号 p. 159-163
白紋羽病の防除薬剤として普及しているフルアジナム水和剤 (フロンサイドSC) の防除効果を長期間にわたり評価した。苗木改植時の「植付時処理」では, 植穴の下部5cmの位置に白紋羽病菌の培養枝を埋設し, 試験を実施した。500倍液処理では処理2年後から, 1,000倍液処理では処理翌年から発病が確認され, いずれの濃度も6年後に全樹で発病した。発病樹に対する治療的処理として, 罹病根を除去する「堀り上げ潅注処理」と専用潅注器による「土壌注入処理」を行った。「堀り上げ潅注処理」では, 再発が処理56か月以降で, 効果が高かった。簡便な「土壌注入処理」は処理翌年から再発が確認され, 効果がやや不安定であることから, 追加処理あるいは罹病樹周辺樹への予防的処理に適すると考えられた。処理土壌において白紋羽病菌の菌糸伸長を完全に阻害する期間は16か月程度と考えられた。予防的な処理であっても2年後に発病が確認される事例があることから, 隔年の体系処理が望ましいと考えられたが, 発病・再発に至る期間は多様であった。