関東東山病害虫研究会報
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簡易磨砕容器とガラス繊維ろ紙を用いた直接的PCRによる罹病植物からの火傷病菌の検出法の開発
松浦 貴之畔上 耕児
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2008 年 2008 巻 55 号 p. 61-65

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抄録

火傷病罹病植物から特異的プライマーを用いた直接的PCRによる火傷病菌検出法の開発を試みた。発光遺伝子標識火傷病菌を盆栽ヒメリンゴの新梢に付傷接種し, 14日後に発光及び病徴が確認された新梢から小片を切り出し, 温州萎縮ウイルス (SDV) 検定用簡易磨砕容器で磨砕後, ガラス繊維ろ紙を用いてDNAを抽出しPCRを行った。同時に選択培地を用いて病原細菌の検出を試みた。その結果, 発病部と健全部の境界部位では, 新梢5mmあたり105~7cfuの火傷病菌が分離され, 常にPCRで検出が可能であった。さらに, 火傷病菌を新梢12本に接種し, 同様に境界部位で検出を試みたところ, 顕著な病徴が確認された新梢11本からは, 新梢5mmあたり105~6cfuの火傷病菌が分離され, PCRで検出された。これらのことから, SDV検定用簡易磨砕容器とガラス繊維ろ紙を用いたDNA抽出により, 罹病植物からの直接的PCRによる火傷病菌の検出は可能であり, そのときの検出限界はおよそ105cfu/切り出し部位であることが示された。

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