関東東山病害虫研究会報
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利根川堤防法面雑草地と水田におけるアカスジカスミカメの発生消長と斑点米被害
武田 藍清水 喜一椎名 伸二萩原 邦彦片瀬 雅彦
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2008 年 2008 巻 55 号 p. 97-102

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抄録

利根川堤防法面の雑草地とそれに隣接した水田内において, 斑点米カメムシの発生消長と斑点米発生との関連性を検討した結果, 主要種はアカスジカスミカメであった。登熟期前半は水田内分布に偏りはあるものの, 成虫は出穂直後から水田内全域で捕獲されたことから, 短時間のうちに広範囲に移動すると考えられた。幼虫の捕獲は成虫より1週間遅れて始まり, 登熟期前半は畦畔際に集中していたが, 収穫直前には成虫同様水田内全域で捕獲された。割れ籾および斑点米調査の結果, 側部斑点米が水田内全域で多発していた。このことは, 対象圃場で割れ籾率が31%と高く, 割れ籾が生じる登熟期後半に成幼虫とも水田内全域で捕獲されたことを反映していると考えられた。以上から, 割れ籾が多発した圃場では, 出穂直後だけでなく登熟期後半の加害を防ぐことが重要と考えられた。

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