教育学研究
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特集 教育における「国家的価値」と「普遍的価値」
日の丸・君が代裁判の概観と判例動向 : 学テ最高裁判決大綱的基準説の継承をめぐって(<特集>教育における「国家的価値」と「普遍的価値」)
吉岡 直子
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2007 年 74 巻 4 号 p. 505-517

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抄録

学校における日の丸掲揚・君が代斉唱は、学習指導要領の改訂の度ごとに強制の度を増してきた。この傾向は1989年改訂以降、特に顕著であり、日の丸・君が代を事由とする教職員の処分事例は増加している。本稿では、今日、教育裁判の一つの領域を形成するに至った一連のいわゆる日の丸・君が代裁判の態様と展開課程を概観し、それらの事案や争点が多岐にわたり、90年代後半以降急増していることを確認する。そして、多様な争点のうち、教育内容への国家関与に焦点を絞って判例を検討し、それらが学習指導要領と日の丸・君が代の強制の可否をどの様に論理づけたか、学テ最高裁判決における「大綱的基準」説をどのように解釈し継承するものであるかを考察する。

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© 2007 一般社団法人日本教育学会
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