2018 年 85 巻 2 号 p. 138-149
学校教育を主体とする公教育システムは、その一元的なあり方が問い直されている。こうした揺らぎに対して新たな教育の公共性論を構築するためには、教育をめぐる公/私の対立の議論を乗り越える必要がある。本研究では、教育の私事化要求が高まりを見せた2000年代の、アメリカ合衆国およびイギリスにおける共通学校教育と統合理念の実現に向けた議論を検討することを通じて、家族の選択を公共性の構築へと架橋するための方略を見出すとともに、その実現のための家族のあり方と市民教育の役割について明らかにしていく。