抄録
Exercise hyperemiaの微小循環機構に関する研究の一環として, 本実験は骨格筋の局所循環血流とその血中hematocrit, protein, osmolalityの相互関係をischemiaの条件下で追求しようとするものである。これまでの報告と同じく, ischemic exerciseにおいても筋活動の頻度が増すにつれて前記血中組成の増大がみられたが, venous outflowは必ずしも増大しなかった。また, ischemic exerciseによるこれらの組成変動はnon-ischemic exerciseのそれよりやや大きい結果を得たが, 顕著なものではなかった。ischemia中のHctとproteinの増大については大部分がhemoconcentrationと思われるが, 一部には流速の低下, 側副血行からの流入, hypoxiaによる血管拡張と管径増大など筋微小循環網のhemorheology的性質の関与がHct情報に重畳しているものと推察する。また, 激しい筋活動下の局所性plasma proteinの変動率増大がHctのそれよりも大であることについては, proteinの組織から血中への一時的なback fluxの存在を考察した。