著者の創案した原子吸光・高性能水系ゲル浸透クロマトグラフィー(AA/HPAGPC)を利用して, ステロイド緑内障(SIG)における金属動態を調べた。試料には家兎眼房水を用い, その中の金属量(亜鉛)を調べるとSIG下では眼房水中の亜鉛量は健常な場合に比べ高値を示し, その亜鉛量の増加は眼圧の増加と相関を示した。SIG下では眼房水中の亜鉛は1つの誘導性亜鉛含有化合物(分子量約6000)として局在し, この金属含有化合物がSIGと密接な関係にあることが明らかにされた。AA/HPAGPCはSIG研究における金属動態の検討には極めて有用な方法と言える。