杏林医学会雑誌
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下肢動脈血行不全に対する皮下トンネル腋窩大腿動脈バイパスによる非解剖学的血行再建
石橋 修池田 晃治越川 雅宏豊田 道明酒寄 享中込 恵美子水沼 裕光
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1985 年 16 巻 4 号 p. 473-479

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抄録

開腹によるバイパスではリスクが高いと判断された17例(男15, 女2, 平均年齢67.2)に皮下トンネル非解剖学的腋窩大腿動脈バイパスを行った。症例は腹部大動脈, 総(外)腸骨動脈などの動脈硬化性閉塞のため平均2年5カ月の下肢動脈血行不全症状を有していた。大腿動脈末梢, 膝窩動脈に閉塞を合併していた5例は同時に連続的に大腿膝窩(脛骨)動脈バイパスを加えた。1例はバイパス1カ月後に大腿窩膝動脈バイパスを付加した。人工血管は外圧補強のグクロン, PTEFグラフトを使用, 膝窩へのグラフトはPTEFあるいは大伏在静脈を用いた。術後1例(3.5%)は早期に, 1例(6.3%)は2カ月後に心不全のため死亡した。グラフト血栓は3例にみられ, 1例は血栓除去により開存を得た。死亡例(2), 消息不明例(2)を除く13例では12例(92.3%)に平均14.2カ月(範囲3∿36カ月)の開存があり著明な症状の改善がみられた。結論的に非解剖学的バイパスはリスクの高い症例に長期機能的開存の期待できる下肢血行再建術と思われた。

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© 1985 杏林医学会
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