杏林医学会雑誌
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混合型胃平滑筋肉腫の一例
森 秀明二瓶 節雄小森 直起川村 和民赤堀 秀樹青木 伸一森田 純一高木 泰若狭 勝秀長嶋 吉郎伊藤 正高斉藤 昌三青柳 利雄栄田 好一朗入村 哲也李 思元鍋谷 欣市福住 直由
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1985 年 16 巻 4 号 p. 529-534

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抄録

症例は70歳男性で心窩部痛, 吐血を主訴に入院した。入院時検査ではHb 8.9g/dl, 糞便潜血反応強陽性。緊急胃内視鏡検査にて, 噴門部直下に3個の不整形潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認めた。細胞学的診断の結果はclass IIIであったが, 一部胃平滑筋肉腫を疑わせる細胞を認めた。胃X線検査も同様の所見を呈していた。腹部CTでは腫瘤は胃外に突出しており胃内視鏡所見と合わせてSkandalakisの分類で混合型胃平滑筋肉腫と診断, 当院外科にて胃全摘術を施行した。切除標本では胃粘膜上皮下に紡錘形の細胞が密に増殖し, 不規則な筋線維束をつくり核分裂も盛んであり, 平滑筋肉腫の像であった。胃平滑筋肉腫は胃の非上皮性悪性腫瘍の20%前後を占めるとされる。最近では諸検査の進歩に伴い術前診断率も向上してきているが, なお他の胃悪性腫瘍との鑑別が困難な例も多い。本例は術前に確診し得た比較的稀な例と思われるので報告する。

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© 1985 杏林医学会
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