杏林医学会雑誌
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慢性肝疾患における微量芳香族アミンの代謝に関する研究
高橋 信一
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1986 年 17 巻 2 号 p. 205-212

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抄録

微量芳香族アミンは偽神経伝達物質として作用し肝性脳症の成因と関連していると考えられている。慢性肝疾患の24時間尿中β-phenylethylamine (PEA), tyramine (TA), tryptamine (TPA)をダンシル化法による螢光定量法で測定し以下の結果を得た。尿中PEAは肝硬変患者で, 尿中TAは慢性肝炎および肝硬変患者で健常者と比べ有意に増加しており, さらに尿中TAは肝硬変脳症時で非脳症時と比べ有意に増加していた。尿中TPAは変化を示さなかった。尿中PEAおよびTAは肝硬変において血漿アンモニア値と正の相関を示し, 尿中TAは肝硬変において血清コリンエステラーゼ値と負の相関を示した。経口カナマイシン投与で尿中PEA, TA, TPAは有意の変動を示さなかった。分枝鎖アミノ酸輸液は, 肝硬変脳症時の尿中PEAを有意に減少させた。慢性肝疾患における微量芳香族アミンの代謝異常は, その前駆アミノ酸の代謝異常さらには肝機能を反映している可能性が示唆された。

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© 1986 杏林医学会
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