杏林医学会雑誌
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遺伝的危険率の推定に関する理論的考察 : II. 伴性劣性遺伝
吉丸 博志古庄 敏行
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1986 年 17 巻 2 号 p. 219-229

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抄録

遺伝的危険率の推定は, 遺伝相談における一つの重要なポイントである。前回の著者らの報告では, 単純な常染色体優性および劣性を仮定して危険率を推定する方法が考案された。今回は, 前回と同じ遺伝的パラメータ(遺伝子頻度, 突然変異率, 浸透度, 出生前淘汰)を考慮して, 単純な性染色体劣性遺伝を仮定した危険率の推定方法が考案された。さらに, 危険率の推定におよぼす遺伝的パラメータ(特に後二者)の影響を検討し, 以下の如き結果が得られた。浸透度が低くなるにつれて, 新しく生まれる男子の危険率は減少することが多い。さらに女子の危険率については, その父が異常遺伝子を確実に持っている場合は, 同様の傾向がみられる。しかしながら, 他の場合は, 浸透度が低くなるにつれて, 女子の危険率はずっと増加することが多い。出生前淘汰の存在は, 男子も女子も危険率をわずかに減少させる。

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© 1986 杏林医学会
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