杏林医学会雑誌
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乳腺細胞におけるプロラクチン作用とカルシウム代謝との関連
吉本 秋雄浦野 晴美安西 正小峰 仙一
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1986 年 17 巻 4 号 p. 489-497

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抄録

乳腺におけるプロラクチンの作用機構に関して, 既に数多い報告があるが, これらの報告の内には, プロラクチンによる細胞内カルシウム濃度調節が示唆されているものがあり, 著者等は, プロラクチンがマウスの乳腺細胞へのカルシウム流入を引き起こしているか否かを検討した。このカルシウム流入機構としては, 細胞膜中の各種ATPaseの活性の変化や, 細胞内のフォスファチヂルイノシトールの代謝回転の亢進が考えられるので, これらの2つの系の変化についても併せて観察を行った。しかし, 全ての実験において, プロラクチン処理群と対照群に著明な相違は見られず, プロラクチンはカルシウムの細胞内への流入促進作用を持たないものと考えられる。

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© 1986 杏林医学会
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