1989 年 20 巻 1 号 p. 35-41
ストレスにより副腎髄質アドレナリン(Ad)分泌は著明に亢進する。脳室内ノルアドレナリン(NA,1ng)前投与はこの亢進を中枢α_1-レセプターを介して有意に抑制するが,クロニジンはむしろ亢進する傾向であることを既に報告した。本研究では,ストレス負荷後に脳室内に種々のα_1-およびα_2-作用薬,遮断薬を投与して,ストレス負荷前の薬物投与効果と比較検討した。ストレス負荷後NA投与は,血中Ad上昇を1μgの大量で有意に抑制したが,クロニジンは1ngの微量でも有意な抑制を示した。この抑制効果はヨヒンビンにより拮抗された。ストレス負荷後のヨヒンビン単独投与は血中Ad上昇を抑制しなかったが,プラゾシンは有意に抑制した。以上の結果から,ストレス負荷後に投与したNAはストレス負荷前と異なり中枢α_2-レセプターを介して副腎髄質Ad分泌を抑制している可能性が示唆された。