細菌に対し静菌的あるいは殺菌的に作用する化学療法剤が大腸菌にストレスを与える1つの要因であると考え,ペニシリン,イミペネム,ストレプトマイシン,ポリミキシンB,ナリジクス酸を細菌に暴露することによりストレス蛋白質が誘導されるか否かについて検討した。その結果,実験に用いた総ての化学療法剤でストレス蛋白質が誘導された。特にβ-ラクタム系抗生物質により誘導されるストレス蛋白質については,その誘導機構が当該抗生物質の抗菌作用に由来するものであるか否かについて試験菌をプラスミドpBR322で形質転換した株を用いて検討した。その結果,β-ラクタム系抗生物質の抗菌作用機構が菌にストレスとなり,ストレス蛋白質の合成を誘導することが明らかとなった。