杏林医学会雑誌
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Stroke-prone Spontaneously Hypertensive Rats (SHRSP)のリンパ球機能
田坂 哲哉三尾 康子松島 早月松崎 潤池田 忠子渡邊 卓伊藤 武雄中原 一彦
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1992 年 23 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

SHRSPの血管病変はpolyarteritis nodosa (PN)に類似しており,その発症要因に免疫学的異常が関与していると予想されるため,今回われわれは,SHRSPとその分離母体であるWistar Kyoto Rats (WKY)の末梢血リンパ球について検索を行い,比較検討した。Lymphocyte subsetはmonoclonal antibodyを用い,flow cytometryにより解析した。Lymphocyte transformationはmitogenとしてphytohemagglutinin-p (PHA-p), concanavalin A (Con A), pokeweed mitogen (PWM), OK-432を使用し,ethidium bromide (EB)により判定した。Serum immuno globlin (IgG, IgM)はsingle radial immunodiffusionにより測定した。SHRSPはWKYと比較し,1) helper/inducer T cellが増加し,B cellおよびla-positive cellが減少していた。2)PHA-p, Con A による反応が亢進していた。3)IgG, IgMとも低値を示した。これらのことより,SHRSPはWKYと異なった免疫機構を持っており,これらがPNに類似した血管病変発症因子の1つとして高血圧の維持,さらに脳卒中発作発症に関与していると推測される。

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© 1992 杏林医学会
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