杏林医学会雑誌
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脳血管攣縮に対する血管形成術 : 基礎的検討
小西 善史
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1993 年 24 巻 2 号 p. 175-182

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抄録
クモ膜下出血(SAH)後に発生する脳血管攣縮(spasm)の治療にballoon angioplastyを応用するため,血管の拡張機序・血管内壁への影響について組織学的検索を行った。SAH後,spasmで死亡した11例のヒト脳主幹動脈(約5cm)を11本採取し,このうち5本はin vitroで種々の条件下にballoon angioplastyを行い,術後,光学顕微鏡検査と走査電子顕微鏡検査で検討した。更に,残り6本は麻酔したイヌの頸動脈または大腿動脈に端々吻合し,この移植したspasm血管に対し吻合部の遠位端より透視下でcatheterを挿入し,in vitroの実験と同じ加圧条件下でangioplasty を施行し,検索した。結果はsilicon balloon catheterを用いて1気圧,10秒間,10回の加圧でspasmが十分解除出来,しかも血管内壁に損傷を加えることなく拡張できることが判明した。以上より,spasm血管に対するballoon angioplastyは,1気圧で,1分間の反復拡張術が安全で,効果的である。
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© 1993 杏林医学会
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