杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
解離腔による右冠動脈と腕頭動脈の圧排・血流障害を経動脈的DSAにて証明し得た、急性下壁虚血・左不全麻痺を合併した大動脈解離の1例
大口 真寿谷内 雅人金 真宇綿貫 篤志宇田川 宏矢野 幸平友野 泰秀清水 尚志梶原 龍人加地 英生西村 徹吉野 秀朗井手 博文須藤 憲一石川 恭三
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 28 巻 4 号 p. 543-548

詳細
抄録

症例は72歳,女性。5年程前より高血圧にて内服中であった。突然の胸痛と意識障害を認め緊急入院した。入院時JCSの20〜30の意識障害および左不全片麻痺を認め,頭部CTを施行したが明らかな病変を認めなかった。心電図では急性下塗心筋梗塞を疑わせる所見を,胸部レントゲン写真では縦隔の拡大所見を認め,大動脈解離を疑い,引き続いて胸腹部CT検査,経動脈的DSAを行なった。DeBakey分類I型大動脈解離と診断が確定し,その解離腔による右冠動脈と腕頭動脈の血流障害の所見を認めた。急性下塗心筋虚血と意識障害の同時に発症しうる病態が理解され,bentall手術を施行し救命し得た一例を経験した。

著者関連情報
© 1997 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top