杏林医学会雑誌
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原著
新生仔期セロトニン神経破壊による生後発達への影響
水間 広
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2003 年 34 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

本研究は, セロトニン (5-HT) 神経系発達障害の病因基礎研究の一環として, ラット新生仔期に選択的5-HT神経破壊を行い, 発達期におけるモノアミン量と自発性行動量の変化について検討を行った。3, 6日齢に5, 7-dihydroxytryptamine (5, 7-DHT) 25-200μgを側脳室内投与し, 8, 14, 28日齢に脳内セロトニン系物質の測定, 28日齢に円形オープンフィールドを用いた行動解析を行った。海馬, 線条体, 大脳皮質での5-HT濃度は5, 7-DHT投与により著明な低下を示したが, 脳幹部では発達に伴い増加傾向がみられた。一方, 自発性の行動量は用量依存性の低下が認められた。また, その行動低下はテトラヒドロビオプテリン (6R-BH4) 連続投与により回復した。以上の結果から, 新生仔期5-HT枯渇により, 終末部と起始部での発達に伴う変化が異なることが確認された。また, 5, 7-DHT誘発性の行動低下は6R-BH4投与により改善されることが明らかとなった。

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© 2003 杏林医学会
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