杏林医学会雑誌
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原著
Alzheimer diseaseの重症度と99mTc-ECD SPECT脳血流画像の関連性
川崎 洋介大瀧 純一鳥羽 研二古賀 良彦
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2007 年 38 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

Alzheimer disease(AD)の脳機能画像研究において,頭頂・側頭葉の連合皮質での脳血流の低下がみられ,ADの進行に伴い血流低下部位が前頭葉皮質に広がるといった報告が多い。本研究は,ADの前駆段階であるAmnestic mild cognitive impairment(aMCI)も含めた最初期から重度のAD患者を対象として99mTc-ECD 脳血流SPECT検査を施行し,MMSEを用いたADの重症度と脳血流の関連性について検討した。その結果,両側の後帯状回,楔前部および右海馬の相対的血流低下が,最初期の段階からADの特徴的な所見として認められたが,ADの重症度との相関はみられなかった。一方で,ADの重症度と両側の前脳基底部,眼窩回の血流において正の相関がみられた。これらのことから脳血流SPECT検査は,ADの各段階を判定するのに有用でADの進行予測に有効であることが示唆された。

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