杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
症例報告
子宮鏡下手術にて診断された子宮内膜間質腫瘍の1 例
澁谷 裕美高木 崇子西ケ谷 順子百村 麻衣松本 浩範原 由紀子小林 陽一岩下 光利
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 43 巻 4 号 p. 115-119

詳細
抄録

 子宮内膜間質腫瘍は子宮体部間質性腫瘍の中でも10%以下と稀な腫瘍である。WHOの分類では子宮内膜間質腫瘍は形態学的に子宮内膜間質結節(Endometrial stromal nodule:ESN),低悪性度子宮内膜間質肉腫(low-grade endometrial stromal sarcoma:LGESS),未分化子宮内膜間質肉腫(undifferentiated endometrial sarcoma:UES)の3つに分類される1)ESNは非常に稀な腫瘍で,予後が異なるESSとの鑑別が重要となる。
 症例は38歳,2経妊2経産。不正出血を主訴に近医を受診した。粘膜下筋腫または子宮内膜ポリープを疑われ,前医を紹介受診し,経腟超音波やMRI検査にて3cm大の粘膜下筋腫様病変を認め,手術目的に当院紹介となった。血液検査ではHb 9.5g/dlと軽度の貧血を認めたが,生化学検査では異常を認めなかった。
 経腟超音波検査,MRI検査にて子宮内膜に突出する30mm超の腫瘤で,変性を伴う子宮筋腫と考えて子宮鏡下手術を施行した。
 病理組織検査にてESNとLGESSとの鑑別が困難で子宮内膜間質腫瘍と診断されて経過観察中であるが,術後10ヶ月経過した現在まで再発は認めていない。

著者関連情報
© 2013 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top