杏林医学会雑誌
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特集「悪性腫瘍(第3集)」
卵巣癌治療の現況と展望
小林 陽一岩下 光利
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2013 年 44 巻 3 号 p. 151-154

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抄録

 我が国で年々増加の傾向にある卵巣癌の治療法について概説する。卵巣癌は早期発見が困難であり,約半数の症例がⅢ/Ⅳ期の進行癌で発見される。卵巣癌の進展様式では腹膜播種が特徴的であり,腹膜播種が根治を困難にしている原因である。初回手術療法では原発巣のみならず播種・転移巣を可及的に摘出することが重要であるが,完全摘出が困難な場合が多く,それ故,化学療法の役割は大きい。卵巣癌治療におけるkey drugはプラチナ製剤とタキサン製剤であり,パクリタキセル+カルボプラチン併用療法が繁用される。初回化学療法にはよく反応するが,約半数は再発するため,セカンドライン以下の化学療法も重要となる。再発卵巣癌においてはプラチナ製剤を含む前治療から再発までの期間がその後の化学療法の奏効率に大きく影響する。プラチナ非感受性症例では現時点では寛解が困難であり,新たなレジメンの開発や分子標的薬の進歩が切望されている。

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