杏林医学会雑誌
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特集「悪性腫瘍(第3集)」
がん治療に対する形成外科の関わり
多久嶋 亮彦
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2013 年 44 巻 3 号 p. 171-178

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抄録

 がん治療の際の外科的治療は,基本的に拡大切除を行うことが多く,切除後の組織欠損は機能的・整容的に多くの犠牲を患者に強いる。この組織欠損に対して修復を行うことを再建といい,形成外科が担当する。再建手術の対象となるのは,外科系の全領域に及ぶほか,悪性腫瘍に対する放射線治療後の骨髄炎や皮膚壊死などの後遺症に対しても再建が必要なことがある。再建は腫瘍切除術と同時に再建を行う場合(これを一次再建という)と,切除術の終了後,一定期間を経た後に再建を行う場合(これを二次再建という)がある。一次再建を行う際は,切除を行う担当外科と協力の上,再建術がもたらす患者への外科的侵襲の度合いを測りながら,できるだけ正常状態に近づけるように再建する。二次再建は,がん治療がある程度落ち着いた段階で,患者の生活の質の向上を目的として行う。再建方法としては,比較的大きな組織移植が必要であることがほとんどであり,マイクロサージェリーによる血管吻合・神経縫合を利用した遊離組織移植術が中心となる。本稿では,外科系の各領域における悪性腫瘍切除後の再建術に関して概説する。

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