杏林医学会雑誌
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特集「クリティカルケア領域における早期リハビリテーションの実際」
周術期における早期リハビリテーションの実際
荒井 知子
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2016 年 47 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

 SICU/SHCUに入室する術後患者には,術後特有の不快症状や自由に身動きできない身体的苦痛,今後の療養への不安,ICU特有の環境への閉塞感や不快感,家族や社会役割からの孤立感といった多様な側面で不快な感覚が生じやすい。こうした不快症状によって生じる安楽(comfort)へのニードを捉え,緩和するプロセスも早期離床ケア(early ambulation)の一貫である。看護師はケアプロセス全体を通じて患者を元気づけ,回復感を高めることができるように関わりたいと考えている。
  SICU/SHCUでは,安全で快適な離床ケアのために,早期離床標準化のためのツールとして離床ケアガイドを導入し運用している。今後の展望として,全ての看護師が麻酔科医師主導で展開される組織的鎮痛管理を理解し協働する力,適切なモニタリングと身体査定を踏まえた判断能力,患者の全体像を捉える力を伸ばす必要があると考えている。
  また,ケアによる患者のコンフォートレベルや多職種の役割および成果の可視化も課題である。

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