2016 年 47 巻 3 号 p. 137-142
新生児型非ケトーシス型高グリシン血症は難治性痙攣,重度精神運動発達遅滞をきたす極めて稀な疾患で,有効な治療法は未だ確立されていない。今回,ケトン食療法に引き続きZonisamideの投与により痙攣のコントロールが良好であった症例を経験した。症例は在胎38週2620gで出生した男児で出生直後から痙攣を呈した。脳波でsuppression burstを示し,徐々にhypsarrhythmiaに移行した高度脳波異常を認めた。髄液グリシン濃度が高値であることから非ケトーシス型高グリシン血症と診断した。ケトン食療法により著明な脳波の改善を認め,その後zonisamideの投与により脳波異常の再燃はあるものの痙攣は認めていない。非ケトーシス型高グリシン血症に対してケトン食療法とzonisamideは有益な治療法と考えられた。