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杏林医学会雑誌
Vol. 48 (2017) No. 1 p. 13-21

記事言語:

http://doi.org/10.11434/kyorinmed.48.13

総説

目的:本レビューの目的は、日本の学校教職員および養護教諭のエピネフリン自己注射薬への認識と、エピネプリン自己注射薬を用いた教職員と養護教諭の救急処置技能を向上させるための試みについて現状を整理し、今後の研究への示唆を得ることとした。
方法:文献検索データベースは医中誌とCiNiiを用い、検索式は「学校ANDエピペン」とした。文献の組み入れ基準は、日本語論文で、対象者を教職員か養護教諭としており、エピネフリン自己注射薬への認識を調査している論文または教職員か養護教諭の救急処置技能を高めるための試みを報告した論文とした。総説論文は除外した。エピネフリン自己注射薬への認識と、試みについて分析した。
結果:145件中、13編を対象論文とした。6編が教職員と養護教諭の認識に関する論文であり、8編は救急処置技能を高める試みを報告した論文であり、内1編は双方の内容を含んでいた。
 教職員と養護教諭の認識に関して、ほとんどの教職員と養護教諭はエピネフリン自己注射薬を知っていた。しかしエピネフリン自己注射薬を処方されている生徒等が在籍しているかについて把握していない学校や教職員および養護教諭がいた。多くの教職員や養護教諭が、エピネフリン自己注射薬を適切に使えるか、アナフィラキシー症状を的確に把握できるか、いつどのように注射すればよいのかについて不安を抱いていた。
 救急処置技能を高める試みの多くは研修の形式で、小児科医や小児科看護師が講師を務め、取り扱う内容は食物アレルギー、アナフィラキシー症状やエピネフリン自己注射薬の使い方等であった。多くの研修で、講義スタイルと演習スタイルを用いていた。その効果として、食物アレルギーの症状や治療、いつどのようにエピネフリン自己注射薬を注射するか等の理解や救急処置技能が向上したと報告されていた。しかし、その効果を前後比較した論文は1編のみであり、対照群を用いた論文は無かった。
考察:エピネフリン自己注射薬を持つ子どもが通う学校の教職員や養護教諭は、アレルギーとアナフィラキシー症状、いつどのように注射するのかといった学習ニードがある。それらのニードは、医師や看護師による講義と演習を組み合わせたスタイルの研修によって学習できるものと思われる。今後の研究では、前後比較法や、理解度を客観的に評価する方法、対照群を用いて効果を検証していくことが望まれる。

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