2018 年 49 巻 2 号 p. 101-106
本邦におけるYersinia enterocolitica(以下Y.ent)の検出状況は,2004年以前ではEuropean strainであるO3血清型が主であったが,それ以降はAmerican strainであるO8血清型が増加している。我々は,2015年6月-2016年5月の1年間に,O3型検出2例,O8型検出2例のY.ent腸炎を経験した。これらの症例の臨床症状は,典型的な胃腸炎症状に加えて,軽症かつ間歇性腹痛,虫垂炎症状,腸重積など多彩な症状を呈した。Y.ent感染症の臨床像は血清型によらず,しかも一定の特徴を有さないことが示唆された。