杏林医学会雑誌
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原著
エストロゲン様作用を有するイソフラボン抱合代謝物が月経周期に及ぼす影響について
小原 映石井 和夫
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2019 年 50 巻 3 号 p. 125-130

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抄録

 大豆イソフラボンであるdaidzein(Dein),genistein(Gein)はエストロゲン様作用を持ち,過剰摂取によりエストラジオール濃度低下や月経周期延長の生体作用を示す。イソフラボン抱合代謝物自体もエストロゲン様作用を有するため,アグリコンのみならず抱合代謝物の質的・量的把握が重要な課題である。イソフラボンの過剰摂取による生体作用とイソフラボン抱合代謝物の関係を検討した報告はない。そこで我々は健康な成人女性4名に,1月経周期の間イソフラボン25mgを含むサプリメントを摂取させ,摂取中とその前後の変化を検討した。抱合代謝物の測定は当研究室にて開発したHPLC-UV法を用いた。月経周期は被験者4名共に摂取中から後にかけて延長し,同様に血漿中の Dein-4’-Gは増加傾向を示した。一方内因性エストラジオールは有意な傾向を示さなかった。よって月経周期の延長にはDein-4 ’-Gの関与が示唆された。しかしながらイソフラボン抱合代謝物は体内動態における個人差が大きいため,被験者を増やし更なる検討が必要である。

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