2020 年 51 巻 3 号 p. 157-162
化膿性脊椎炎は,小児では稀な疾患だが,その臨床症状は非特異的であることから,診断は困難である。症例は9歳女児で,発熱・腰背部痛を主訴に入院した。血液検査では,WBC 8600/µl,CRP 4.6 mg/dlと炎症反応の上昇は軽度であった。画像検査については,造影CTでL4椎体に溶骨性変化が観察された。さらに,MRIにより,T1強調像でL3とL4椎体およびL3/L4椎間板に低信号域を認め,脂肪抑制併用T2強調像ではL4椎体上縁に高信号域を認めたことから,腰椎化膿性脊椎炎と診断した。血液培養からMSSAが検出されたため,計6週間のセフェム系抗菌薬の静注で加療を行った。発熱と腰痛は速やかに消失し,症状の再燃はなく,後遺症も認めていない。化膿性脊椎炎は重症化すると椎体変形など不可逆性の後遺症を残すこともあり,早期診断・治療が必要である。