杏林医学会雑誌
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特集「杏林大学医学部の医学教育の変遷」
共用試験CBT,OSCE
関口 進一郎
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2021 年 52 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

共用試験は,医学系の大学,学部が学生の能力と適性について全国的に一定水準を確保するための全国共通の標準試験である。この試験によって学生の質を保証し,社会や国民に示す目的がある。杏林大学医学部の学生が受ける共用試験のうち,第4学年後期の臨床実習開始前に受験するCBTはコンピュータを用いた医学的知識の試験である。また,診療参加型臨床実習前OSCEは医療面接と基本的な身体診察の技能,態度とが評価される試験である。この2つの試験に合格すると,Student Doctorとして臨床実習への参加が許可される。一方,第6学年の診療参加型臨床実習後OSCEは,医学部を卒業し,臨床研修をスムースに開始できる臨床能力を修得できているかが測定される試験である。ある症候をもつ患者への医療面接,身体診察,指導医への症例プレゼンテーションの一連の流れが一つの課題となる。その成績は卒業判定資料の一部となる。CBTとOSCEの試験運営は各大学に任されているが,共用試験機構からの機構派遣監督者,他大学からの外部評価者によって試験が厳正かつ公正に実施されているかどうかが確認,評価される。CBTやOSCEの実施は,医学教育センターの教員のみならず各教室の教員,医学部事務課の職員など多くの方々の理解と協力の上に成り立っている。臨床実習前のCBTとOSCEについては今後,公的化される方向が示されており,準国家試験的な性格の試験となることが予想される。

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