杏林医学会雑誌
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特集「杏林大学医学部の医学教育の変遷」
卒後教育
冨田 泰彦
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2021 年 52 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

2002年医師法第16条の2第1項に規定する厚生労働省発令で,2004年必修の医師新臨床研修制度が開始された。医師としての人格育成,プライマリー・ケアの基本的な診療能力の修得,アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備することが基本方針となっている。その後2010年と2020年に見直しされた。この制度に伴い,医師臨床研修マッチング協議会が設立され,全国で公平な応募と選考がなされるマッチング制度が出来た。この制度で母校以外の研修施設を選択することが体制的かつ心理的に容易になり,大学病院以外の臨床研修病院での研修希望者が増加しつつ都市部に集中する傾向があり,2010年から都道府県ごとの定員の調整がなされた。この初期臨床研修の効果として,研修医の幅広い臨床能力修得という目的は達成され,研修医の満足度は高い。また2007年よりNPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)よる各施設の初期臨床研修自体の第3者評価制度が開始された。後期専門研修では,各診療科領域での質の担保という観点から2018年より日本専門医機構による新専門医制度が19基本領域とサブスペシャリティー領域23領域で開始された。これに伴い付加的な地域偏在や診療科間の医師偏在に対して,領域別に採用数の上限設定をするシーリング制度が設けられた。まだ4年目の制度であり,様々な意見や提言が存在し,今後の動向を注視すべき段階にある。

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