杏林医学会雑誌
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特集『炎症性腸疾患診療の最前線』
杏林大学医学部付属病院 炎症性腸疾患包括医療センターの設立の目的と活動内容
三好 潤
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2021 年 52 巻 4 号 p. 185-189

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抄録

 炎症性腸疾患の患者数は全世界的に増加傾向であるが,いまだ原因が不明であり根本的治療がないため,現在の治療目標は寛解導入・維持となっている。好発年齢が比較的若年であるため,治療期間が長期に及び,患者は多様なライフイベントを疾患と向き合いながら迎えることとなる。治療薬,治療戦略が著しく進歩する一方,患者の生活の質の向上,医療資源の有効利用など炎症性腸疾患診療の現場は新たな課題に直面している。そこで,杏林大学医学部付属病院炎症性腸疾患センターは,患者中心医療の実践,最先端の炎症性腸疾患医療の提供,地域における炎症性腸疾患診療への貢献,炎症性腸疾患医療に貢献する研究の実施,炎症性腸疾患診療を担う次世代の医療関係者の育成を目指して2019年に設立された。当施設では,院内の多診療科・多職種の連携・教育体制のもと難治性・重症炎症性腸疾患症例の先進治療・集学的診療に積極的にあたるとともに,地域医療機関との診療ネットワークを構築することが,西東京地区における炎症性腸疾患診療の質を高めるために必要不可欠と考え,さまざまな取り組みを行っている。さらに,国内・国際共同治験に多数参加し,また臨床・基礎医学が一体となった学術的活動を推進して国内外に発信している。

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