杏林医学会雑誌
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トリメトファン希薄液微量点滴法の臨床的検討 : ケタミン麻酔時の血圧制御を中心に
本城 繁氷室 寛人神山 守人
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1978 年 9 巻 3 号 p. 191-194

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抄録

臨床麻酔で数年前まで主たる全身麻酔剤であったハロゲン化揮発性麻酔剤は,手術室汚染,肝腎障害例への適応制限が問題となり,近年NLA, ketamine, pentazocine, diazepam等の組合せによる静脈麻酔法の開発がすすめられてきた。これらの薬剤の組合せによる静脈麻酔法では,時に高血圧の発生をみることがあるので,新らしい麻酔法に対する安全で調節性の高い血圧制御法の臨床的な開発が望まれている。著者は従来麻酔科領域で主として低血圧麻酔に応用されていた超短時間作用性節遮断剤であるトリメトファンによる血圧制御を計画,血圧制御設定条件,(1)安静時血圧±20torr維持,(2)毎分収縮期血圧下降率1〜5torr/min.ケタミン,笑気麻酔38症例の歴年齢別トリメトファン平均投与量(μg/kg/min)の統計的解析より用量反応曲線(dose=206・e^<-0,048age> r=-0.92)を求めた。また用量反応曲線.薬効比および,現在の一般的臨床麻酔技術,機器類の計量準位より,特に高齢者麻酔時の至適投与濃度は,0.01〜0.025%トリメトファン希薄液と推定した。

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© 1978 杏林医学会
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