教育哲学研究
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和田修二著『教育の本道』
木内 陽一
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2003 年 2003 巻 88 号 p. 121-122

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抄録

本書のタイトルに現れた「本道」という表現に、やや意表をつかれる読者も多いかもしれない。「教育の本道」とは何の謂いか。著者によれば、客観的なかたちでは存在してはいないものの、子どもを育てたり、人間の尊厳について深く思いを馳せるときに問い続けられなければならない共通の課題を意味するという。人間に共通の規範や価値の存在を認め、その前提のもとに、特に七十年代以降の教育の混迷について、根源的に考えてみようとするのが本書の主眼である。そしてなによりも「本道」の追求は、人々に教育する勇気を与えるものとされる。
著者はながらく京都大学で教鞭を執り、現代日本の代表的教育理論家の一人として知られるが、本書は特に実践者をはじめとする一般の読者を対象として執筆されている。学問的な蓄積と自己の信念の稔り豊かな統一が、本書の特色をなしている。

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