東京医科歯科大学教養部研究紀要
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現代日本における留学生:別名・通り過ぎていく人、帰るべき人
權 大聖
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2022 年 2022 巻 52 号 p. 85-102

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抄録

近年、日本の大学における留学生の数は増加傾向にあり、過去最高を記録している。その大半は高等教育機関(HEIs)に属していることから、留学生は日本の高等教育の国際化(IHE)において重要な存在となっている。 IHEの主要なステークホルダーである日本政府、企業、HEIsは、優秀な留学生をより多く誘致しようと努力している。留学生は滞在先の国において学生(語学留学生、学位取得を目的とする正規留学生、交換留学生)としても、労働者(非正規労働者、臨時職員、潜在的な特定技能労働者)としてもアイデンティティが不明確であり、移民という観点ではさまざまな境界やカテゴリーを横断している。そのため、留学生の移住政策アプローチや認識は、滞在する国の法的、経済的、文化的、政治的条件や要因によって異なる。では、現在の日本社会において留学生はどのように認識されているのだろうか。彼らは日本社会に「求められ、望まれる」在留外国人(wanted migrant)のカテゴリーに属しているのだろうか、あるいは「望まれない」存在(unwanted migrant)なのだろうか。このような背景のもと、本稿では、日本における留学生の採用・定着・定住のプロセスを批判的に考察する。また、留学生が一時的な滞在者ではなく、潜在的な永住者、さらには同胞として日本社会に定着する可能性を模索する上で、日本の移民政策の役割が何なのかについても議論する。

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© 2022 東京医科歯科大学教養部
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