東京医科歯科大学教養部研究紀要
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東京医科歯科大学学生のフィットネスに関する研究
アクティブ・ラーニングの心理・社会的効果
水野 哲也
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2017 年 47 巻 p. 49-55

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抄録

今回、我々はフィットネスマネジメント授業におけるアクティブ・ラーニングの心理社会的効果について検討した。   方法:対象は2群に分かれた計29名の大学生である。一つの群はテニスを教材としたアクティブ・ラーニング(以下AL)群で14名の学生が参加し、11週間の授業であった。また、もう一つの群はLife Kinetik トレーングを教材としたパッシブ・ラーニング(以下PL)群で15名の学生が参加し、同じく11週間の授業であった。両群とも11週の授業開始前と終了後に心理社会的調査として、KiSS-18、POMS、STAI並びにSOC-13が実施された。なお、この期間の最終調査時期は、学生の期末試験時期であった。 結果:(1)社会的スキルを評価するKiSS-18の「初歩的なスキル」得点において、AL授業群の変化量の方が、PL授業群のそれより有意に大きかった(p =.036、向上)。また、「高度なスキル」得点においてPL授業群の受講後 が受講前より有意に低下した(p = .017)。    (2)気分・感情を評価するPOMSにおいて、全ての学生の受講後の疲労得点は、受講前より有意に高かった(p = .010)。また、PL授業群の受講後の総合気分障害得点は、受講前より有意に高かった(p = .039)。ま た抑うつ得点においても同様の傾向が認められた(p = .021)。また、活気得点において、AL授業群の変化量は、PL授業群のそれより有意に大きかった(p = .019、増加)    (3)首尾一貫感覚並びに不安を評価するSOC-13並びにSTAIの変化等には有意な差は認められなかった。  考察:POMSの疲労得点から、受講後の調査時期は試験期間中のため、全受講学生は疲労を主体としたストレス下にあったと考えられた。しかし、AL授業に参加した学生は11週の授業後のこうしたストレス下においても心理社会的状況を良好に維持していることが確認された。

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© 2017 東京医科歯科大学教養部
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