東京医科歯科大学教養部
2017 年 47 巻 p. 77-94
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『懐風藻』所収の大津皇子臨終詩には、複数の類型詩が指摘されている。場面および詩句の構成と表現において、強い類型性が確認されるそれらの臨刑詩は、人々の想像力が生み出す稗史の中に発生し伝承されたと考えられる。個別具体的な生と死のありようが捨象されて用いられる汎用性の高さから、特定個人の臨刑詩の継承ではなく、臨刑詩すべてに先行して、刑死者の最期を飾る決まり文句が存在し、知識人の悲劇を語る口承文芸の中で繰り返し活用され、再生産されたものと推定される。
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