55 巻 (2009) p. 7-12
2003年,九州各県の協力を得て,使用種子や防除履歴等の圃場情報を伴ったイネいもち病罹病標本の収集を行い,70圃場から計 506のいもち病菌株を得た。九州地域における MBI-D 耐性菌の発生実態を MBI-D 耐性遺伝子診断およびPot2 rep-PCRの結果と圃場情報によって解析した。2003年は全般にいもち病の発生が少なかったが,MBI-D 耐性菌の広範な分布を確認し,「ヒノヒカリ」や「夢つくし」等の主要作付品種のいずれからも耐性菌が認められた。MBI-D 育苗箱処理剤施用圃場のほとんどから耐性菌が検出されたが,MBI-R や抵抗性誘導型剤施用圃場からも耐性菌が検出された。また,圃場発病程度と耐性菌分布との明らかな関係は認められなかった。自家採種種子使用圃場のみならず,購入種子(苗)使用圃場の約 6割で耐性菌が確認されたことから,耐性菌の分布拡大には種子の来歴や流通が大きく関与していると推察された。