九州病害虫研究会報
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病害
イネいもち病菌の野生Setaria 属植物に対する病原性
宮司 貴浩藤田 佳克草場 基章
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2016 年 62 巻 p. 43-49

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抄録

野生Setaria 属植物であるエノコログサ,アキノエノコログサ,キンエノコログサについて計12の植物株を供試し,イネいもち病菌6菌株を接種した。その結果,キンエノコログサでは全植物株で無病徴反応のみが観察された。エノコログサとアキノエノコログサでは中央に崩壊部のある小型病斑が観察され,2型感染型病斑と判定した。アキノエノコログサでは2型感染型病斑の形成が認められた供試植物株は少なかったが,エノコログサでは全植物株に認められた。一方,エノコログサでも2型感染型病斑が形成された植物の個体数は植物株間で大きく異なり,さらには同一株内でも接種した菌株により形成される場合とされない場合が認められた。2型感染型病斑の胞子形成能は全般的に極めて低かったが,エノコログサでは100個以上の胞子が形成される病斑も少数観察された。このような胞子形成能を有する病斑は特定の菌株と植物株の組合せで出現する傾向が認められた。

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