九州病害虫研究会報
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病害
タマネギべと病菌卵胞子の土壌中における生存率の推移
草場 基章 川邑 菜々美
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2019 年 65 巻 p. 5-10

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抄録

タマネギべと病菌の卵胞子について土壌中における生存率の推移を調査した。実験は10℃と20℃に設定した恒温槽内および屋外で30週間に渡り行った。初期値として実験開始時に調査した卵胞子生存率は56.6%となった。10℃の恒温槽では実験期間を通じて生存率は30.0% 以上に保たれた。一方,20℃の恒温槽では培養開始から10週間で生存率は急激に8.8% にまで低下し,その後も漸減して30週間後には4.0% となった。急激な生存率の低下とその後の漸減は屋外の実験でも観察され,実験開始から10週間で生存率は19.5% に,30週間後には3.8% に低下した。また,屋外で急激に生存率が低下した期間は夏季の高温期であり,実験期間中で最も気温が高かった。以上より,土壌中の卵胞子の生存には温度が影響し,10℃といった低温では生存率は高く保たれるが,高温では卵胞子集団に急速な死滅が生じる可能性が示唆された。

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© 2019 九州病害虫研究会
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