鹿児島県溝辺町のキャベツ畑を中心に1991年4-12月の間,コナガの天敵の種類と寄生性天敵による寄生率および発生の消長を調べた。
寄生性天敵類の種構成は,タバコアオムシヤドリバチの1種が新たに追加されたが,他の6種は1990年の田中らの調査結果と同じであった。この6種の寄生者の寄生率の季節的消長も1990年の田中らの調査結果とほぼ同じであったが,最も寄生率の高がったコナガサムライコマユバチでは,春期,秋期ともに1990年より低いレベルで推移した。
捕食性天敵類の粘着トラップによる発生消長調査では,ゴミムシ類,アリ類およびクモ類が春期,秋期ともに発生が見られたが,ハネカクシ類は春期のみ発生が見られた。
キャベツ畑から捕獲してきた捕食者と思われる18種にコナガ幼虫を与えて捕食の有無を調べた結果,ゴミムシ類,テントウムシ類,クモ類等の合計13種が捕食した。
糸状菌類によるコナガ幼虫の死亡率調査では,桜島区は春期のみ死亡が見られ,平均死亡率は約37%であった。
溝辺区では春期,夏期および秋期ともに死亡が見られ,平均死亡率は約14%であった。