九州神経精神医学
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総説
職場における発達障害やパーソナリティの問題への理解と対応
新開 隆弘
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2017 年 63 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

 うつ病(うつ状態)は本当に多様である。人がうつ状態になるのは,いわゆる内因性うつ病の他に,知能・発達や性格に問題がある人が,対人関係をこじらせてうつ状態になる場合もあるからである。よって職場でみられるうつ状態の全てがうつ病という訳ではない。その本質は,発達障害やパーソナリティ障害,あるいはアルコール依存症ということもありえる。職場のメンタルヘルスの初期対応では,ハナからうつ状態=うつ病と決めつけないことである。本稿では職場での発達障害とパーソナリティの問題への理解と対応を考えてみた。いずれの障害も健常者と明らかな線引きが難しく,これといった特効薬もない。さらに産業精神医学の「本番環境」は,臨床家が普段のフィールドとする診察室や病棟ではなく,職場である。我々臨床家は普段の診察室内だけのやりとりを超えて,産業医との連携を通じて,職場情報を加味した支援策を講じる必要がある。

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© 2017 九州精神神経学会
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